- 金剛出版
- 18.8×12.8cm、244ページ
- ISBN 978-4772415859
- 価格 2376円
行きつけの某有名大書店で新刊案内をめくり、発見後同書店の普段は全く素通りする社会心理学本棚でご対面。在庫3冊。その意味で貴重な本であるばかりか、評者の雑学辞典に依れば、騒動の発端となった米国CBS放送の台本は、現在同社の資料室から持ち出し禁止とされ、我が国のNHKでは、本件がラジオによる情報提供のあり方の初任者研修資料になっているそうだ。今時そのような本が入手できるとは思ってみなかったが、本書ではシナリオの実物を読むことができるという大変な資料。発生したのは1938年10月30日ハロウィーンの日だから80周年だ。悪霊ではなく火星人が襲来したわけ。
円柱状物体に火星人が乗ってやってきたのは、ニュージャージー州プリンストン(ニューヨークの南西約70km:大学の町として有名)の農場。そこから地球人を攻撃したことになっている。放送内でも7回にわたり「ドラマです」と案内されたが、人々のパニックは収まらなかったという事件。ドラマの中でシカゴの天文台(実在不明)に於いて、その晩火星面で白いガスの噴射が観測されたと天文学者が報告したと言うが、その頃は火星が地球から遠く離れ(ステラナビゲータで地心距離2.4天文単位、視直径4秒角)、大望遠鏡でもとても観望対象とはなり得ず、おまけに火星は日出前の東の低空にちょっと顔を出すのみ。放送時(20〜21)に、慌てず外を見れば火星がいないことは判ったはずなのに…。