- インターシフト 刊
- 12.5×19cm、315ページ
- 2014年11月
- ISBN 978-4-7726-9542-8
天文書として全く異色の本。おそらく書評を筆者が書かなかったら他の天文書評家はもちろん、絶対に単なる生理学書かもしくはスピリチュアル書と間違えて紹介されているだろう。もしかすると、書店の書棚でも別の場所に飾られていたかもしれない。筆者は生物学書コーナーでご対面した。
本書の帯に「国際的第一人者による決定版、英国医療協会(2013)年度年間ベストブック」とある通り、ミュンヘン大学教授で欧州生物リズム学会会長を勤める著者が書いた一般読者向専門書である。
本書がなぜ天文書だと断定するのかといえは、木星や天王星など火星以外の惑星で人間が生存する可能性について論じられているからだ。議論のプロセスと結論は本書でご熟読いただくこととして、その結果、人類が太陽系の他の惑星で一生を過ごすのは、火星でも困難であり、相当な努力が必要であることがわかる。
また、宗教上あるいは社会主義・資本主義などの政治思想の相違は、実は文化の相違の素ではなく体内時計によるものであることも、本書で明らかになる。また、男女の活動時間、年齢別、季節別(昼が最も長くなる季節に自死が多くなる)、受胎は春が最も多い(筆者も裏付けデータを持っている)、全て太陽と関わることも、本書が天文書であると判断した重要ポイントである。もう一点、夜が活動時間の天体観測者諸氏は、安定した生活のために本書が必読の書ですよ!お楽しみを。