- 技術評論社
- 四六判、224ページ
- ISBN 978-4-7741-3162-7
- 価格 1,659円
英国の科学雑誌ニュー・サイエンティストは時々面白い企画本を出版する。ハヤカワ文庫から翻訳が出た「つかぬことをうかがいますが…―科学者も思わず苦笑した102の質問」「また、つかぬことをうかがいますが…―科学者も居留守を使う98の質問」を評者は読みながら笑い転げつつ、欧米の一般読者の科学レベルの高さを思い知ったものだ。挙句の果てには、周囲のスタッフに「これ読め」と強制した。
本書もその一環で、「あなたが死ぬ前にやるべき1000のこと」というタイトルで、クリスマス用に限定販売した企画本。たちまち売り切れ、2005年のベストセラーになったそうだ。ともかく面白い。大人も子供も科学者も誰もが、今という生存共有時間を楽しもうという精神がふつふつと伝わってくるのだ。100のうち少しでも天文に関わることは25もあり、確かにどれも評者がやりたいことばかり。グリーンフラッシュを見に行きたいし、火星表面の疑似体験をしに行きたいし、ハレー彗星ももう一度見てから死にたいし、隕石衝突現場も見に行きたい。
残念ながら、死ぬまでに評者が一番やりとげたい食変光星アルゴル極小観測500回は書かれていない。しかしその他、天文以外でもいろいろ珍味が用意され、そのどれにも読者のみなさんは幻惑・魅了されることだろう。翻訳がまたすばらしい。胸を張って「これ読め」と、おすすめできる本だ。