- 青土社 刊
- A5、245ページ
- 2009年8月
- ISBN978-4-7917-1202-1
- 価格 1,300円
本文238ページ中154ページがガリレオに関する記事、というよりいろいろな専門家13人による論文集で、これは絶対イケる本だ。特に天文愛好者のみなさんにお勧めなのは、科学史研究者、村上陽一郎先生の「科学者の模範、ガリレオ?」と、写真家港千尋氏の「望遠鏡の中の星」、それから天体物理学者の桜井邦朋先生の「ガリレオが見た太陽は何を語りかけるか」だ。
ガリレオを権力に反する殉教者と見る常識的な人は、ぜひ村上先生の説かれるところを噛み締めていただきたい。面白いですよ!また、港氏は、望遠鏡に対する当時の人々の反応や、ガリレオのデッサン力を鋭く分析されている。それに関連して美術研究家(表象文化論)の田中純氏の「ガリレオと見ること」も、ガリレオのスケッチを美術的見地から分析されており、科学者ガリレオの一面を知ることができる。桜井先生の研究は、ガリレオによる太陽黒点の観測記録を、つまり原典を非常に詳細に分析され、科学研究とはこうすることですということが味わえる。
佐藤文隆先生や茂木健一郎先生など著名な方々の様々な観点からの分析もそれぞれユニークで高尚でしかも学者らしく鋭い分析で、本書は本当に勉強になりますよ。たぶん本書は世界天文年2009だから出版されたのだろう。編集後記などどこにもそれが記されていないのが、どうにも不思議なのだが…。
評者は、本書広告欄に載せられた有名なB.ブレヒトの戯曲「ガリレオ・ガリレイの生涯」を近々購入し、読んでみたいと思う。大昔、岩波文庫版で読んでいるが、評者書斎コーナー及び押し入れ内のダンボール山の彼方に消え、行方不明だからである。