- 草思社
- 19.6×14cm、358ページ
- ISBN 978-4794224002
- 価格 2376円
評者が書店で本書に巡り会ったとき、たまたまグッド・タイミングだった。大正ロマン時代、石原純や長岡半太郎ら多くの日本人科学者・天文学者らが何に関心を持ち、アインシュタインといかなる関係があったかを知りたかったからだ。それには、この時代に日本を訪れた同人の旅行の詳細が知れたらなぁと思っていたのだ。
そういえば、同人が妻同行の船で神戸にやってきたのが1922年11月17日、もうすぐアニバーサリーですよ! 出港は同年12月29日、その間仙台までの日本各地を歴訪した。広島を訪れた際にドイツ大使からの電報でアインシュタインの暗殺計画が知らされたということは、本書で初めて評者にも知らされたことだった。その後(1923年2月2日)、同人がパレスティナを訪問したのは、大多数(60万人)の一般住民に対してユダヤ人が9万人いたからだ(ご存じのようにアインシュタインはユダヤ系)。当時は今のイスラエルがイギリスの委任統治領だった。このように歴史は怪しい側面を持っているのですね。本書を読むとそれが実感できますよ。ただし、同人は伝統的ユダヤ教徒に対して深い嫌悪感を持っていたが、先進的ユダヤ人の経営手腕は賞賛していたという。だが、開国以前の日本人は、南地域が北地域より暑い理由を考えたことがなかったとか、太陽の南中高度が南北の地域で異なることを知らなかったことに呆れたとも。色々ありますね!