- ソフトバンククリエイティブ
- A4変形判、254ページ
- ISBN978-4-7973-4007-5
- 価格 3,000円
本書には3つの点て驚かされた。第一はその表紙、第二は共著者の経歴、第三はその内容だ!
表紙だけでもかなりの労作で、特殊なシート加工でビッグバンを表現した絵は、財産になるといってよい。
著者の一人パトリック・ムーア氏は英国王立天文学会の大立者だが、異色なのがロックグループ「クイーン」のメンバーでギタリストのブライアン・メイさん。これにはびっくりだ!
評者はかねてより人間を類型化するのが好きで、地理人間と歴史人間、音楽人間と美術人間、犬人間と猫人間などのように嗜好で分類しているが、音楽人間=天文学愛好家という図式が成り立つのかもしれない。宇宙好きだったベートーベンを筆頭にハーシェル、シュレーター、鈴木敬信、ジーンズ、アインシュタイン…、それにこのメイさん。かつて名門ロンドン大学インペリアルカレッジで天文学の博士課程に在学中、売れっ子になってしまいロック歌手に転向せざるを得なかったという。先日長年の夢かなって、博士論文を提出した。もう一人の若い天文学者と3人での共著なのだから、そんじょそこらの素人が出版した本ではなく、実に目を見張る最新宇宙論の本となったのだ。
ともかく、一度書店で手にとって見てほしい。大きな本なので、数日間電車の中で読みふけっていた評者への好奇と迷惑の視線が痛く感じられた。近隣の座席の皆さん、まことにもってすみませんでした。