- SBクリエイティブ
- 17.2×11.4cm、192ページ
- ISBN 978-4797389166
- 価格 1080円
この偉人の伝記は、やや大げさに申し上げて五万や十万では済まないが、ご自身「筋金入り」を標榜するアインシュタイン・ファンが書いた本。60冊以上は読んだという。評者には筋金が入っていないので、その1/6程度。従って、特殊相対性理論の論文のオープニングページとは、本書で初対面である。そればかりでなく、この偉人の68を数える名言と28の実話物語の収録は、それだけで価値が高い。4個のコラムも面白いですよ。
ともかく、個々の記事については、本書で十二分にお楽しみいただくこととして、ここでは評者がかねてから関心を持っている幼少時〜青年期の天才(評者とは真反対)の生い立ちと、ナチス・ドイツからの亡命と、女性問題(なぜ離婚したか)と、原爆問題(ラッセル・アインシュタイン宣言の経緯)と、脳を含めた遺品処理と、そして何よりも宇宙論にかかわる諸問題が、もちろん完全に明らかになるわけではないが、本書で理解を深めることができたこと、著者に「大変ありがとう」と申し上げたい。
まだ評者には、アルゴル・アルマーズ・ベテルギウス・ミラのオタクという肩書きがあるので、著者の後を追っかけるファンにまで至ってはいないが、著者の気持ちは十二分に理解できるのだ。読者のみなさん、胃潰瘍と肝臓病と心臓病と扁平足と拡張蛇行静脈と死因となった腹部動脈瘤にも、十二分に気をつけよう! 良い本ですよ。