- 宝島社 刊
- 13 x 18.8cm、191ページ
- 2015年1月
- ISBN 978-4-8002-2060-8
2006年7月26日、みなさんは何をしていましたか?2014年8月27日、そして9月14日は…?答は全て本書中に記されている。2番目は特に多くの方がテレビに釘付けだっただろう。中には家族連れで内之浦に行っていたかもしれない。
はやぶさやはやぶさ2のことではない。本書は、固体燃料ロケット・イプシロン開発プロジェクトチームのプロジェクトマネージャー森田先生の直々の著書である。冒頭の貴重な写真群が、伝統と革新・未来志向(ここまでは著者が語る開発コンセプト)・多数の未来への種・大幅なコスト削減(筆者の付け足し)を静かに語ってくれている。
すなわち、現場に立ったエンジニアにしか語ることができなかった喜びの記録なのである。政治家や役人あるいは報道関係者には、おそらく感じることが出来なかった生の感覚である。例えば、テレビでは探査機打ち上げのウィンドウは地球と小惑星の相対運動でわずか1秒しかないと報じられていたが、それはあくまでも打ち上げ実施上の現実的目標ということで、計算上は5秒あったと書かれている。1秒と5秒の違いは読者のみなさんにご判断いただくこととして、ともかく本書は貴重なドキュメントである。M(μロケット組立室のこと)を横倒しにするとΕ(ε)になることが、命名理由だったことも…。