- 中日新聞社 刊
- 21×14.8cm、192ページ
- ISBN 978-4806207023
- 価格 1,512円
評者が入門した五島プラネタリウム(ドーム直径20m)の、1970年代半ばから1980年代初めにかけて最大のライバル・プラネタリウムだったのが名古屋市科学館。当時、国産装置を装備した館は多数全国にあったが、ツアイスの機械を導入していたのは、大阪・東京・明石・名古屋の4館しかなかった。東京が一番東で、新幹線で行けばすぐ隣が名古屋。大阪は日本で最初のプラネタリウムだったからチョクチョク見学に行き、明石は「遠路はるばる良く来たね」とか「子午線が通る町」で見学に行った。だが、憎きかどうかは別として、名古屋はライバルだった。特に名解説員(2名の山田さん、永田さん、服部さん、北原さん等々)が多数おられて、実は筆者の個性的というか変わった解説スタイルは、全部名古屋の皆さんから学び編み出したものだった。その後池袋が開館して、足下に火がついた…。
だが、そんな回顧談はもう古い。今や最新鋭で最大(ドーム直径35m)の世界に冠たるプラネタリウムで、今までと変わらず生解説(好きな言葉ではないが)で人気である。全国の解説員と呼ばれる皆さんは、本書から解説員の資格要件をぜひ読み取って戴きたい。
本書で特にお勧めは、第二章「秋の日はつるべ落とし」。詩的かつロマンチックな表題とは異なり、本章で心意気を学ぶことができる。例えば山田博さん。解説の長だけでなく日本の変光星観測者の長でもあった。山田卓さん、洒脱な人柄に多くを学ばせて貰った。