- 築地書館
- 19×13cm、264ページ
- ISBN 978-4806715054
- 価格 2,916円
有名大書店の地質学書コーナーの片隅に置かれていたため目に付かず、評者は発行以後10か月以上気づかなかった。同店店員さんも、本書が天文学者が書いた本だとはよく知らなかったのだろう。科学ライターを生業とするが、かつては知る人ぞ知るあのジョドレルバンク電波天文台の台員で、ロンドン大学宇宙化学研究所所属の天文学者。王立天文学会会員である。小惑星4036に命名されているあのホワイトハウスさんだ。ちなみに、小惑星9866は…。
昔は、天文学と地質学は天と地の差を隔てていた。月のクレーター成因説で、かたや火山爆発説、こなた隕石衝突説と分かれていたように、天文学者が地質に、地質学者が天文に手を出し始めると、体力が欠かせない観測と巡検ができなくなったから、と言われ老い先が短い、つまりもうすぐお亡くなりになる一歩手前と言われたものだ。でも1969年のアポロ11号で事態は大きく転換した。系外惑星の時代となって、それらや太陽系惑星の理解に地質学的見方は必須となり、おかげで評者は本書を目を皿のようにして読み、最新研究のすばらしさを味わうことができた。特に、太陽が最後には直径1億6800万kmまで膨張した後、白色矮星に縮む時、地球は藻屑となって矮星表面にばらまかれ、お仕舞いというシナリオが明確に書かれた本は、本書が初めてだろうと確信する。お勧めです。