- 東京新聞出版局
- 四六判、255ページ
- ISBN 978-4-8083-0901-5
- 価格 1,400円
本書「はじめに」にあるように、2006年に一般の(最年少4歳)方々を対象に実施された「謎の募集」で、1000を超える応募から選ばれた疑問に答えた100問の回答集である。難しい名称では、社会技術研究開発事業「基礎科学に対する市民的パトロネージの形成」と呼ばれている。
本書は、珍問難問(もちろんそればかりではありません)の57%近くに、直接福井先生がお答えになっておられる。今を去る28年も前に、アルゴルに関する研究会で先生のお人柄にいたく感心したことが評者には懐かしく思い出されるが、そんな先生の天文普及への熱意があふれる本になっている。一般の方々への回答が主体なので、親しみ深い多数の挿絵と共に基本的な知識や情報がとてもわかりやすく表現されているが、読者の皆さんの引き出しをあふれさせるほどの情報もたくさん含まれている。例えば、現在よりわずか10億年後に、金星のような水が存在できない惑星になるという、恐るべき予想も紹介されている。太陽が赤色巨星になって、地球が飲み込まれるのは50億年後だが、太陽光度が10%程度強くなるだけで地球の海は蒸発し始め、水蒸気が暴走的に温室効果を強めるからだ。現在の温室効果なんてたいしたことは無い!ぜひ、本書が多数の方に読まれ、ベストセラーになることを願いたい!