- 野島出版
- B6判、224ページ
- ISBN 978-4-8221-0220-3
- 価格 2,100円
昨年11月出版の本書は、著名な天体イラストレーター・写真家、そして何より約25年前にプラネタリウム仲間として活動(詳細は本書206ページ以後に記載)されていた沼沢茂美さんがこれまでに執筆され、ご出身県新潟の新聞等に掲載されたものをまとめたこだわりの本である。まず地元の出版社ということにこだわっておられる。次に新潟と星である。小説・民俗・星名・伝説・低緯度オーロラや光柱などの光象・地元の古文書に見られる彗星と隕石・大火球出現などなど。
著者の幅広いご興味は、各地への天文紀行に繋がっている。特に「芭蕉の見た天の川」と「奥三面(オクミオモテ)・縄文の空」は秀逸である。芭蕉の方は多数の天文関係者がこれまでに取り上げていることで有名だが、実に丁寧に説明されておられる。また、環状列石が一種の暦(サークル・カレンダー)であるという検証過程は詳細で、有名なストーンヘンジの検証を思わせる天文学的なものである。
ともかく、新潟に関わる天文書として大変に貴重な本で、みなさんにおすすめしたい。
最後に余計な一言、ベツレヘムの星の一文があるが、改訂版をご予定の節はぜひ評者のミラ説を加えていただきたい。