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Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

榮は元気ないちばん星
「Z項」を発見した天文学者・木村榮

表紙写真

  • かつおきんや 著/やまだゆみこ 絵
  • 北國出版社 刊
  • A4、43ページ
  • 2007年4月
  • ISBN978-4-8330-1566-0
  • 価格 1,800円

Z項(木村項とも呼ばれる)を発見し、第一回帝国学士院恩賜賞(1911年)、英国王立天文学会ゴールドメダル(1936年)、第一回文化勲章(1937年)などを受賞した水沢緯度観測所(現・国立天文台水沢VLBI観測所)初代所長木村榮(ひさし)の、特に幼少期のエピソードを紹介した貴重な本。

子供時代生活した石川県金沢市の「市立ふるさと偉人館」が監修し、石川県が生んだ西田幾多郎・高峰譲吉ら6人の偉人といわれる中の一人として紹介されている。8歳にして家業の塾を手伝い木村塾の小先生と呼ばれた神童だったことや、名門第四高等中学校を首席で卒業、東京帝国大学理科大学星学科からお父さんのすすめで大学院に進学、さらに緯度観測所初代所長として1922年より国際緯度観測事業を牽引した業績は、石川県だけではなく日本の偉人として評価されるべきだ。

評者の書棚にも河出書房から昭和15年に出された「物理実験学(第12巻)地球物理学及び天文学」という古書がひっそりとあるが、その中の天文観測心得(木村榮執筆)に、本書に紹介された「観測者は望遠鏡に対して、医者が患者に接するように丁寧にあるべき」という木村の言葉がある。評者は改めて「物理実験学」を読み直してしまった。評者の母校の恩師である鈴木敬信先生が実習時、赤道儀のクランプを締めようとした評者に「望遠鏡は豆腐だと思え!」と宣言されたことも思い出してしまった。

「榮 絵はがきセット」「榮 ぬり絵であそぼう」なども付録になっており、本来子供向きではあるが、大人向き(親向き)に木村の人となりがまとめられているので、天文を志す日本中の方々に本書をお勧めしたい。

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