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Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

天動説の絵本 てんがうごいていたころのはなし

天動説の絵本

  • 安野光雅 著、イラスト
  • 福音館書店
  • 24.8cm x 23.2cm、48ページ
  • 1979年8月
  • ISBN 978-4834007510
  • 価格 1,575円

初版1979年、2008年に第30刷発行という、30年以上のロングセラー。

単に年取ったせいなのか、元々持って生まれたコダワリ性のためなのか、世の中の常識について評者は最近とみに疑念を持つようになった。今までの常識がごく簡単に非常識に変身させられるのだ。

今や全てが、理論や数値で裏づけされないと常識とは認められない。だが不思議なことに、今では誰もが地動説が正解なのは知っていても、その証拠(年周視差・年周光行差・恒星光のドップラー・シフトの年周変化)を挙げることはできないのだ。その意味では、地が動いても天が動いても同じことなのであり、むしろ天が動いていると素朴に観察するほうが常識なのである。

本書は、天文学者が唱える小難しい考えと常識とのずれを見事に明らかにしており、数々の賞の受賞者として著名な絵本画家安野光雅氏が画いた美しい画集であり、子ども向けの哲学書である。最近における常識の非常識化の激変に較べ、天動説から地動説への変化がいかに長い年月を要したかを知ることができる。コペルニクスもガリレイもブルーノもマゼランも、さらにはフーコーの振り子実験ももちろん登場(詳細は最後の2ページの解説とあとがきで)する、立派な科学書でもある。

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