- 三笠書房 刊
- 10.5x15cm、245ページ
- 2014年11月
- ISBN 978-4-8379-8296-8
著者は本書評8月にご紹介した「理系あるある」を書かれた方。ユニークな視点から書かれた同書を、既にお読みになられた方が多いことだろう。その視点とは大きく異なるが、最新のデータを用い最先端宇宙科学を解説した本でありながら、電車の中で気軽に読書することが出来る楽しい本である。妙に気取らず、理系の考え方に耽溺できる本として多数のみなさんにオススメしたい。
筆者は、本書を宇宙科学の知識のチェックとして使用した。ために、筆者の雑学ノートが溢れかえり、そのおかげで誤植や首を傾げるデータもいくつか見つけてしまったが、いずれも観測天文学を生業とする筆者と理論物理学を専門とする著者との違いなのかもしれない。
でも間違いなく本書は新視点を提供してくれる。視力187500なんて、みなさん聞いたことあります?もちろん普通の目や望遠鏡のことではなく、電波干渉計(スペースVLBI)のことだが、月面上で60cmのものを見分けられる視力に当たる。筆者が悪いことをして月面に逃げたとしても、3倍の解像度で居場所がわかってしまうことになる。その他本書には、落語の寿限無の五劫の擦り切れまで登場する。著者の人柄が推察できる。