- 三弥井書店 刊
- 13.5×19.5cm、本文212ページ、注ほか19ページ
- 2013年8月
- ISBN 978-4-8382-9085-7
新刊書ではなく、おまけに1997年に出版された同名の書の新装改訂版である。筆者が購入したのはこれが初めてである。おそらく本書が科学書コーナーに置かれていなかったために1年半近く見逃してしまった。店中回らなければいけませんね。
グローバルと言うのはまさにこのことだろう。天体にまつわる話はまさに世界中にある。しかも同じ天体について語っているのだから、他民族をよく知り共通理解することができるのだ。そして、民族ごとあるいは時代ごとの認識法の相違が手に取るようにわかるのだ。
例えば日本人は月に黒兎(夏型の野兎)を見るが、中国人は蝦蟇(がま)蛙、西欧人は罪人や悪魔、南米では月女の火傷と見る。パリの街角で中秋の名月を見ながら、綺麗だなと呟いている日本人のそばには人が寄りつかない。ルナティックと見られるからだ。これこそ世界観の違いでなく何であろう。月の満ち欠けや日月食への対応、北斗七星や昴・三ツ星、流星・太陽・金星・銀河・オーロラに関する話は、どれもが体中を揺する。
筆者はぜひ本書を天文学者諸姉諸兄に読んでいただきたい。その上で、一般の人々が天体に抱いている一種の憧れについて、思いをはせていただきたい。本当にグローバル・ユニバーサルですよ。筆者が申し上げるのもおこがましいが、天文学は人類最大の文化なのです。