- ベレ出版
- 19×13.4cm、191ページ
- ISBN 978-4860645014
- 価格 2,380円
太陽が西の地平線下に沈むと、月以外に明るく光っているものがなければ、自然と暗くなって、満天の星になる。それが当たり前と、誰もが考える。それを「そうじゃないよ」と、改めて考えてみることが科学者とそうじゃない人との最大の相違点だ。要するに本書のタイトルにあるとおり、なぜ「暗い」のか? である。カギ括弧内が重要で、明るければ街明かり(光害)や火山爆発等々、夜空を照らす原因を誰でも考えるが、それは科学者の仕事ではなく、科学者はなぜ「暗くなる」なるのかを考えるへそ曲がり人種なのである。
だが、そこからトンデモナイ理論が提出されるのだ。未だ結論は出ていない難問で、とりあえず、見える星の数が有限なのに、宇宙が無限に広がっているからだと申し上げておこう。見える星が有限だとは言っても、いわゆる太陽と同種の恒星が数千億個集合した銀河は、本書第5.4章174ページにあるように、今から約100億年前に起こった宇宙のベビーブームで観測可能な全宇宙内に生まれ、現在ではその数約2兆個というビックリするほどの数もある。にもかかわらず夜空は「暗い」、では夜空が昼間のように明るくなるほどになるには、一体何個の星が必要なのかというパラドックスのパラドックスの、そのまたパラドックスに、至極簡単に陥ってしまうのだ。