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金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

天空の地図 人類は頭上の世界をどう描いてきたのか

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天空の地図 人類は頭上の世界をどう描いてきたのか
 

  • アン・ルーニー 著、ナショナルジオグラフィック 編、鈴木和博 訳
  • 日経ナショナルジオグラフィック社
  • 22.8×19cm、192ページ
  • ISBN 978-4863134065
  • 価格 2916円

評者がまだ駆け出しの解説員だった頃の五島プラネタリウムの資料室は凄かった。世界中の古星図が溢れていたのである。まずいことに、それを誰も見ていなかった。評者だけが、一人部屋に籠もってパラパラ見ていただけだった。そこでユリウス・シラーのキリスト教星図(セラリウス版のものが本書154〜5頁にある)に初対面。衝撃を受けた! 職業柄、ギリシャ神話の星座話は身につけざるを得なかったが、こんな動きがあったことは、野尻先生からもご教授いただけなかった。その結果、五島プラネタリウム学芸報というものに報告書を書いてしまった。

ともかく、本書を皆さんがご覧になると、劇的に世界観が変わるはず。だって、古代の人々が天空をこれほど様々に見てきたのだということが、手に取るように判るからだ。一例を挙げよう。180頁に写真が示されているマヤの天の川。マヤ民族は、それを異界への通り道・入り口を見たという。似た見方は日本にもある三途の川。

評者は、30年ほど前に依頼を受けて、精神病院に入院中だった画家ゴッホの有名な「星月夜(絵は184頁に掲載)」が、いつの夜空を表現したものかを同定したことがある。評者は水星と金星の接近(但し鏡像)とみた。本書には、それがロス卿の子持ち銀河のスケッチに影響を受けたものという説が紹介されているが、ゴッホにはクネッと宇宙が曲がって見えていたのかもしれない。せめて書店店頭でまず立ち読みし、O.K.ならばご購入を。

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