- 丸善プラネット
- 19×13cm、164ページ
- ISBN 978-4863453890
- 価格 1296円
評者収集の「科学者のニックネーム:2018年11月現在1200名4500項目有余」に、「フーコーに魅せられた先生」を登録させていただいた。なにしろ先生御自作のフーコーの振り子を、ご自身勤務先の都立高校に設置(もちろん自作)し、果てはフーコーが自作し振動実験をしたパリのパンテオンをはじめ、欧米各地のフーコーの振り子を視察して回られたのだから。その魅せられようは尋常ではない。評者の出身大学の高さ25mのものを毎日見て育ち、科学博物館・杉並区立科学官・葛飾区郷土と天文の博物館の見学など、評者の見学回数なんて全くものの数にもならない。本書は、熱に駆られた熱い本で、もちろん内容は濃密だ。
評者が大学入学初めての講義で、故鈴木敬信先生からなんとも濃密な地球自転の話を伺ったのは、もう半世紀以上前の話。フーコーの振り子実験が日周光行差等と並んで、当時大問題となっていた地球公転の実証実験となったことを教えていただけた。それが評者の科学思考第一歩出発となった。
本書巻末に掲載された都立高校での生徒達と共に行ったデータを拝見し、日本学生科学賞の東京都入選はごく当然と思った。おそらくこの高校生さん達は、立派な科学者になったのだろう。ところで、読者諸兄諸姉は、地球自転や公転の証拠についてお考えになったことがありますか? 無い! 「えっ」ですよ。だって、皆さんが立っておられる地面その場所が動いている、それももの凄い速度で、だが我々は誰もがそれを感じないなんて、当たり前じゃないでしょう。本書は、その当たり前じゃないことを科学的に懇切丁寧に説明した良書なのだ。ぜひ、気軽にお読みいただきたい。