- 飛鳥新社
- 17.6×11.8cm、160ページ
- ISBN 978-4864106481
- 価格 1080円
138億年とくれば最新宇宙論の本と早合点する方が多いと思うが、さにあらず。本書は松井孝典先生という特別な方の人生論の本である。なぜ特別な方かというと、実は評者にとって特別なのだ。評者が渋谷で駆け出し解説員のころ、星の会一般クラスに松井先生を講師に迎えた講演会でオペレーターを担当したが、打ち合わせで東大に先生を訪ねたことがあった。研究室のドアを開けた途端、体が硬直した。これぞ学者の部屋! 評者はその瞬間こうしようと決意した。今や我が家の書斎でそれが実現している。今にも崩れ落ちそうな本の崖。東海地震や南海地震が心配である。でも、ともかくそうなったからこそ、本書評があるのだ。
そんな縁で、本書を味わった。良かったですよ! 特に最終章から1つ前の「インターネットは時代に逆行している」は必読の価値あり。個性がない均質化した社会をよしとするなら、インターネット社会はその理想的なものであり、混沌とした無秩序な社会になるという。そして、そのような社会では根も葉もない噂話が蔓延り、情報の質が落ちていくと筆者は断言する。米国社会の現状や日本も今や同じですね。本当に他人が信じられない社会になった。更に一章前の「英語教育より正しい日本語教育を」というご主張もまさにその通り。外国の教養を日本人が身につけられたのは、日本語でものを考えられたからだという主張に大賛成。ともかく、全25章とも名文だ。本書のおかげで評者編集雑学天文大百科天文学者編日本人天文学者松井孝典コーナーが大充実することになった。