- WAVE出版
- 四六判、240ページ
- ISBN 978-4-87290-321-8
- 価格 2,520円
科学分野の人物伝シリーズ「グレート・ディスカバリーズ」の3冊目。既刊の「アインシュタイン」、「マリー・キュリー」は、伝記の定番ともいえる人選だが、今回は意表を突かれた。ヘンリエッタ・スワン・リーヴィットは、セファイド変光星の周期と絶対光度に相関があることを発見した人物で、天文学に興味のある方なら名前くらいは耳にしたことがあるだろう。遠方の天体までの距離測定が可能になる大発見をしたにもかかわらず、その評伝はほとんど残っておらず、本書の原書がアメリカ初の伝記だという。
リーヴィットはハーバード大学天文台が撮りためた写真乾板から恒星の位置と明るさを測定し、データ化する作業を行う“コンピュータ”(本来の意味通り計算する人)の一人に過ぎなかった。それは「科学的調査というより簿記に近い」作業で、時給25セントは紡績工場と大差ない待遇。そんな中、彼女は歴史に残る大発見をし、博士号の授与に値する論文を残したのだから、人生とは分からないものだ。ピカリング、シャプレー、ハッブルなどの有名な天文学者も多数登場し、天体の距離測定の歴史についても学べる好著。