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現代天文学史 天体物理学の源流と開拓者たち

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現代天文学史 天体物理学の源流と開拓者たち
 

  • 小暮智一 著
  • 京都大学学術出版会 刊
  • 21.8×16cm、634ページ
  • ISBN 978-4876988822
  • 価格 5,292円

出版直後から読み始めたのに完読までこれほど時間を要したのには、大きな理由がある。634頁という大書であることと、内容が豊富でメモに大変な時間を要したためである。幾度となく申し上げているように、評者の専門(小暮先生の前で申し上げる言葉ではない)が変光星なので、測光と分光には五月蠅いのだ。先生は天体分光学がご専門なので、本書第一・二章から、新天文学(特に分光学)の発展経過が手に取るように読み取れる。近年同分野を語る本が皆無状態だったので、本書は皆さんに絶対お勧めしたい。

著者は今年90歳を越された大先生。長年京都大学でご研究なさっていたので、直接ご指導戴くことはなかったが、本書にも写真入り何頁もの記事でご紹介戴いている藤田良雄先生(低温度星・炭素星)は、五島プラネタリウムで学芸委員として、凡才解説員でしがない評者を指導して下さった方。先生が何よりも同分野では世界的大学舎であることが本書から読み取れ、同じ日本人として嬉しい限り。その他、畑中武雄・荻原雄祐他の諸先生方も…。みなさん、日本の天文学者たちは小暮先生をはじめ、本当に凄いのですよ!

本書は、17〜18世紀に発展した天体力学ではなく、19世紀以降に発展した天体物理学史の本。従って、宇宙論も含めて天文学全部の教科書というわけではないが、それに特化した本としては、繰り返し絶対、絶対にお勧めの本なのだ。

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