- マガジンランド
- A5判、76ページ
- ISBN 978-4-944101-45-0
- 価格 680円
書店の児童書コーナーで本書を発見したとき、評者は思わず「やったぁ!」と叫んでしまった。筆者が折にふれて提案しつづけてきた「マイ星座創り」が、やっと世に受け入れられたと思ったからである。本書では「自分だけの星座」と呼ばれているが、同一である。
カルデア人や中国人、あるいはポリネシア人や南米人たちが、それぞれ独自の環境で励んできたマイ星座の創造が、どれだけ労を要したか、あるいは文化や環境を知る上でどれだけ役立つ文化財なのかは、実際に創ってみると身にしみてよくわかる。と同時に、現代でもコートハンガー(散開星団コリンダー399)や、おむすび銀河(銀河アープ220)など、どうして学者がこぞって天体にニックネームをつけたがるのかもよくわかるのだ。一昔前なら暗室で、今ならパソコンで画像を目の前にしたとき、ほくそえみ、自分だけのものにしたくなり、それに名前を付けてしまうのだ。
だが、先ほど申し上げたように星空を見たときは、誰のものでもない黒い大きなキャンバスに現代人の自由な発想で星座を創ろう。それが本書著者たちの主張であり、評者の多年の主張でもある。著者の方々は、評者もだいぶ前にお邪魔したことがある日立シビックセンター天球劇場で仕事されていたプラネタリアンだ。評者はまた、日立市とは別の関東の有名プラネタリウム館を訪ねた際、偶然子供たちのマイ星座作品展を拝見させていただいたことがある。本当にありがたいことだと思う。
ひとつ残念なことは、本にすると星座が狭すぎて、大空全体を使うダイナミックなマイ星座を創りにくいことだ。また、こと座をLOVEの英字に当てはめるのに、暗い星まで動員せざるを得ないのはちょっと非現実的だ。それと、日本中どこでも見える北斗七星が本書には載っていないこと。有名すぎてそれ以外の発想は難しいというためか。でも、昔もカギ(鍵)ボシなどと呼ばれたことがあったし、マイ星座作品展には、確か巨大オタマジャクシがあった。
「創ったマイ星座をプレゼントしよう!」という評者のかねてからの主張も、本書ではマイ星座絵葉書付きで実現してくれた。著者たちの温かい思いに乾杯だ!