- デアゴスティーニ・ジャパン 刊
- 29 x 22.8cm、191ページ
- 2009年
- ASIN B0050C1Z52
- 創刊号特別価格790円(通常1,790円)
いつもの通り神田の書店街をさまよっていたら、有名書店SGで積み上げられた本書を見かけ衝撃が走った。とんでもないものを見てしまったのだ。箱の表紙に、昔から馴染んでいたツァイスや五藤の惑星投影機とはかなり違うが、れっきとした惑星儀がプリントされているではないか。次の瞬間、評者はお店の人に「これ、お願いします」と言っていた。後から識者から聞いた話だが、同店は発売予定日より前に本が並べられることで有名な書店だそうだ。その日何件か回った他の書店に、確かに本書は見当たらなかった。
買ってから本文を読んでまたビックリ。17〜18世紀の惑星儀に触発されたロンドンの金属加工芸術家カルメルス氏の設計によるものだが、英国天文界の重鎮で高名なP.ムーア氏が推薦・寄稿しているのに加え、日本人なら誰もが知る渡部潤一先生が監修しているちゃんとした本なのだ。
その惑星儀が、本誌を52回買い続ければ、我が書斎コーナーの棚(すでに隙間がないが)を押しのけて飾られる予定という寸法(高さ33cm幅38cm)。完成すれば太陽からエリスまでと、主な衛星(固定)が金属パーツで展示されると共に、精密加工の歯車でその動きが内蔵される小型モーターで公転の再現が可能という。どのくらいの年数の精度があるかは残念ながらわからないが、工具のキットも用意されている。
毎週少しずつパーツが加わっていくのは、やや首を長くしなければならないが、小冊子に天文に関するかなりの情報が詰め込まれたマガジンも、その間に読むのはそれはそれで楽しみである。確かにそれで、毎週が世界天文年2009を体現する天文漬けになる。
ツァイスのプラネタリウム(惑星投影機)の価格に比べればもちろん桁違いに安価だが、それでも52回(ほぼ1年)の配本で、790+1790×51=92080円は、このご時世に相当な金額だ。でも、絶好なクリスマス・プレゼントだと考えれば、好きな人は絶対に買い、好きでない人は見向きもしない本と言うことになろう。願わくは、たくさんの人々に本書が購入されることを、天文学普及に命を賭ける評者は望んでいる。