まずは写真集「プラネットフォール」。見開き約80cmになる大紙面に、最新デジタル技術と高精細印刷で再現された世界は、まさに神業といえる風景の連続。渦巻く地球の台風雲、光と影で浮かび上がる月面の凹凸、噴射する太陽のプロミネンス、赤い火星の荒野、複雑な木星のマーブル模様、整然と無数に並んだ土星の環……すべて人類が宇宙に送った「マーズ・リコナサンス・オービター」「オポチュニティ」「カッシーニ」「はやぶさ」などの探査機・探査車から届いた画像だ。それぞれの惑星にFALL(着陸)したような臨場感で目の前に広がり、あらためて太陽系の惑星が変化に富んだ天体であることがわかる。いつまでも見つめていたい美しさだ。
一方「ふくしま 星・月の風景 Vol.3」は、地球で生きる人間の営みを感じる星野写真集である。今年で3回目の「ふくしま 星・月の風景フォトコンテスト」の表彰作品41点を収録。撮影地は福島県内に限られるが、撮影者(コンテスト応募者)は東日本各地から127人が応募している。どの作品もすばらしく、撮影のタイミングや工夫には感銘するばかり。「天文ファン」からすると意外に思える構図も多く、星夜写真の撮影マニアにとっても参考になるだろう。くしくも、ほとんどが震災後に撮影された写真で、星・月と一緒に写っている海や山の風景を見ていると、そこに生活している福島県民の暮らしを想像せずにいられない。桜も月も、そこにあるだけで“故郷の温もり”を感じるのは、日本人の原風景が詰まっているからだろうか。
次は、このコーナーではちょっとめずらしいタイプの本だ。「世界一美しい自然現象図鑑」は、天体だけでなく珍しい大気現象や、大地が生み出した造形、自然が作る神秘的な風景など、とにかく“美しい”というキーワードによって集められた写真が満載の図鑑。「ボール・ライトニング」「ブルーモーメント」といった希有な現象や、「シンクロニック・バンド」という限定的なものなど、ページをめくるたびに驚嘆する景色が現れる。その姿になった(あるは現象が起こる)仕組みも丁寧に解説され、知的好奇心が刺激される。ハンディサイズ図鑑だから身近な所に置いて、いつでも手にとって眺めたり調べたりしたい。
「宇宙はなぜこのような形なのか」は、NHKで放送している科学番組「コズミックフロント」を書籍化したもの。放送された多岐にわたる内容の中から、「宇宙の仕組み(物理学)」「宇宙の姿(天文学)」「宇宙生命(生物学)」「宇宙開発(工学)」の4分野についてまとめている。基本的には読み物だが、番組で使われた画像や写真がいくつか載っていて理解しやすい。
さて、ここからはDVD BOOKを3冊紹介しよう。「超高性能望遠鏡群がみた美しすぎる宇宙」は、昨年6月に発行された「最新!超高性能望遠鏡群がとらえた『宇宙のいま』」の増補・改訂版。マガジンは、歴代の宇宙望遠鏡と地上望遠鏡を紹介しながら、その望遠鏡がとらえた宇宙の姿を掲載。DVDも同誌付録と同一で、イギリスの人気宇宙番組「Cosmic Vistas 2」(日本語字幕)全6話142分を収録している。
「ハッブル宇宙望遠鏡がみた美しすぎる宇宙」も、2011年に発売された「ハッブル望遠鏡でのぞく宇宙の神秘」を増補・改訂したもの。ハッブル望遠鏡によって撮影された惑星や銀河などが、基本的な情報とともに紹介されている。DVDも同雑付録と同じで、イギリスのテレビ番組「HUBBLE'S CANVAS」(日本語字幕)全6話160分を収録している。
「宇宙の神秘―太陽系誕生の秘密―」はディスカバリーチャンネルで放送された、太陽系惑星の番組をまとめたDVD。日本語ナレーションで全8話45分を収録している。冊子は8ページのB6サイズで、読み物ではなく番組コンテンツを紹介する程度なので、書籍というより映像をじっくり鑑賞するためのDVDソフトといえる。