美しい写真が載った図鑑や豊富な知識が詰まった事典をめくる瞬間は、大人も子どももワクワクする。それはまるで、見知らぬ場所へ行き新しい風景に出会うような、新鮮な感動があるからだろう。夏休みに親子で過ごすとき、いっしょにページをめくるときっと楽しくなる天文図鑑や事典を集めてみた。
『138億光年 宇宙の旅』は、NASAの画像アーカイブから厳選された天体を大迫力で掲載した大判写真集。今年60周年を迎えた同局はこれまでに、アポロ計画に始まる有人宇宙開発、ボイジャー1号2号などの惑星探査計画、ハッブル宇宙望遠鏡などによる天体観測を行ってきた。その活動の中で撮影された膨大な画像データは、人類が宇宙を見つめてきた足跡でもある。「EARTH」章では、国際宇宙ステーションから見下ろした地上や、月探査機がとらえた青い地球を紹介。「SOLAR SYSTEM」では、太陽表面の活発な爆発、火星や木星の詳細な模様を掲載。「DEEP SPACE」では、遠い銀河の淡い姿を細かく伝えている。いずれもアート作品のような美しさで、宇宙の神秘とともに撮影技術の発達も感じる。
『宇宙探検大百科』は小学生を対象に天文学の基礎を教えてくれる事典。惑星・衛星・彗星など太陽系内の天体、多彩な姿をした星雲や星団、さらにロケットなど宇宙開発まで、写真や図解でわかりやすく解説している。全漢字にひらがながふってあるから、子ども一人でも読める。また、大きすぎないサイズは小さな子どもの手でも扱いやすく、いつでも気軽に調べものができる。
次の2冊は既刊本の新版。『宇宙』は2002年に初版が出た「小学館の図鑑NEOシリーズ」。日進月歩する天文学の最新情報が更新され、さらにDVD「ドラえもん・のび太のびっくり宇宙」が付いている。6つのチャプターごとにクイズが出題され楽しく学べる。
『宇宙図鑑』も2005年に出た同名書籍の新装版。児童用として、星の一生・太陽系・銀河など基本的な情報が網羅されている。しかも、大人でも読み応えがあるボリュームと内容だから、天文初心者にもおすすめ。個人的には「まるで花咲爺さん」「小つぶでピリリとからい」などユニークな見出しに目が止まる。
最後は、ちょっとユニークなビジュアル書籍を2冊。『天空の地図』は、長い歴史の中で人間がどのように宇宙をとらえてきたか“宇宙観の変遷”を伝える史料の図鑑。天動説の時代から地動説へ移り変わる宇宙図、歴代天文家による惑星面のデッサンと最新観測機器による詳細な天体写真の比較、古代神話がモチーフの美術品や星図など。時代比較だけでなく、西洋・イスラム・東洋など地域と文化の違いによる宇宙観も興味深い。
『微隕石探索図鑑』は、宇宙から地球に降り注ぐ微少な物質「微隕石」のコレクション本。著者は著名なジャズミュージシャンでありながら、アマチュア天文家として世界各地で微隕石を採取し分類してきた希有な人物だ。同書では彼の活動と収集品を収録、さらに間違えやすい地球由来鉱物も教えてくれる。美しく整えられたコレクションは、どれも宝石のように美しい。やがて「はやぶさ2」もリュウグウから“星のかけら”を採集することが期待される。
(紹介:原智子)