前号で2020年の天文カレンダーを一堂に集めて紹介したので、今回は2020年に起こる天文現象を掲載した年鑑や手帳を集めた。毎年使い慣れたものを愛用する人も多いだろうが、ときには「ほかの年鑑や手帳はどんな様子だろうか」とチェックしてみるのも新鮮だ。
まずは、『星ナビ』を編集しているアストロアーツが手掛けた『アストロガイド星空年鑑』。オールカラーの大判ムックだから、図解が豊富で天文初心者でもわかりやすい。できれば毎月『星ナビ』を買ってほしいところだが、「とりあえず1冊持って一年間の星空ガイドブックにしたい」というならコレがおすすめ。前年版からバージョンアップしたのは、付録DVDの動画番組がスマートフォンで見られるようになったこと。さらに、巻頭の「見逃せない天文現象」や毎月の「星空と天文現象」ページで、写真撮影だけでなく双眼鏡や望遠鏡を使った楽しみかたの紹介が追加された。撮っても観ても楽しい天文ライフを過ごせそうだ。
一方、『天文年鑑』は本格的な天体観測をするアマチュア天文家をはじめ、天文台や研究施設などのプロも利用する詳細情報を収録したデータ集。創刊72年の歴史は、日本の天体観測を支えた歴史でもある。2020年版から待望の電子書籍も発売されるので、観測現場でさらに便利に使えそうだ。
『月のこよみ』は毎日の生活の中で、月や星空を楽しむための案内本。月の満ち欠け、月の呼び名、旧暦、二十四節気など、心豊かに夜空と暮らすヒントを教えてくれる。味わいのあるイラストも素敵で、親しい人にプレゼントすると喜ばれそう。
ここからは、ハンドブックサイズの天文手帳を3冊紹介する。いずれも、毎月(日)の天文現象を掲載したカレンダーとメモ帳ページが基本である。昨今はスマートフォンやタブレットパソコンなどを使いデジタルでスケジュール管理をする人もいるが、アナログ手帳にはページをめくる楽しさや、一目で天文情報や手書き予定を見渡せる良さがあり、利用者は少なくない。
『天体観測手帳』は美しいカラー写真や多彩な図解が掲載され、ミニ図鑑の役割も果たす新型のビジュアル手帳。ガイドブック兼手帳として役に立つ情報が満載で、この一冊で充実した観測生活が送れる。
テレビ番組「タモリ倶楽部」の専門手帳特集で紹介されたことのある『天文手帳』。初版から44年になる長寿手帳で、長年にわたる愛用者が多い。2019年版から表紙も内容もリニューアルした。「毎月の星空」を充実させページ数を増やし、月間カレンダーを記入しやすいボックス型にして、週間ページには当日のデータだけでなく歴史上の天文トピックも掲載した。一方で、お馴染みのコンパクトなサイズと軽さは変わらない良さである。「いつもの手帳」が手になじんで使いやすいのだ。
『星空手帖』は、先月紹介した「日めくりカレンダー 星空ごよみ365日」とセットで使いたい簡易手帳。天文情報は基本的なデータにしぼり、カレンダーとメモ帳が主のごくシンプルなもの。荷物を増やしたくない人でも、この薄さならいいだろう。
(紹介:原智子)