月面着陸を目指す「アルテミス計画」の、1号機打ち上げが注目を集めている。10月には、若田光一さんにとって5回目の宇宙滞在となる打ち上げもある。
そこで、まずは『ロケットかがく for babies』で基本をおさえよう。前号で紹介した『りょうしりきがく for babies』と同じシリーズで、シンプルながら的確に揚力と推力について学べる。NASAジェット推進研究所の技術者で、児童書も著している小野氏の訳が素晴らしく、ロケットの科学を楽しく正しく教えてくれる。
学んだことを試したくなったら『学研の科学 水素エネルギーロケット』で実験しよう。そう、2010年に休刊した『学研の科学』が12年ぶりに復活したのだ。第1弾のこの本には、未来のクリーンエネルギーである水素をテーマにした「ほんもの体験キット」と、若田さんのインタビュー記事などが載った「本誌」、SDGsについて学べる「学研まんが『ひみつシリーズ』」が収められている。「懐かしい!」と思う大人も、「やってみたい!」と思う子供も、大満足のセットだ。本誌や「オンラインコミュニティ」で動画が見られるのがイマドキだ。
次の2冊は文章にフリガナが振られていて、小学校低学年から読める図鑑。『すばらしき宇宙の図鑑』は副題に「宇宙飛行士だから知っている」とあるように、元宇宙飛行士の野口聡一さんが書いた宇宙紹介本である。「宇宙のにおい・温度・色」などの解説は、実際に宇宙で活動した人の言葉だと思うとリアルだ。太陽系について、星の誕生や宇宙の構造について、宇宙の観測や探査について教えてくれるが、やっぱり宇宙での生活について紹介する部分に実感がこもっていてワクワクする。
『地球を飛び出せ! 宇宙探査』は、子供に人気のテーマを扱った名作「ビジュアルブックシリーズ」を復活させた、新シリーズ「サイエンスブックスNEXT」の第5弾。「太陽」「水星・金星」「火星」「木星・土星」「天王星以遠」「小惑星・彗星」「系外惑星」「有人宇宙探査」の最新情報をたっぷり掲載している。そしてセンターには、太陽系をターゲットとした主要ミッションと探査機がひと目でわかる「太陽系宇宙探査大マップ」が折り込まれている。宇宙の図鑑でありながら「人類が宇宙に挑戦してきた歴史」を感じる。
今度は、少し成長して『14歳からの宇宙活動計画』について。この本が出版された2021年に14歳の人が、18歳・20歳・28歳と大人になるにつれて、「アルテミス計画の始動」「月探査のゲートウェイ」「火星探査の本格化」と、発展していく宇宙探査の未来を図解を交えながら紹介している。本当に今14歳の少年少女にとって宇宙は、将来の生活圏であり職場かもしれない。
さて、そんな14歳に役立ちそうなのが『超速でわかる! 宇宙ビジネス』だ。20世紀が船舶や航空機の発展により世界が身近になった「グローバル時代」だったとすると、21世紀は地球と宇宙を行き来する「ユニバーサル時代」になるという。そんな地球と宇宙の間で発展する経済にまつわる情報を、1テーマ1見開きで解説する。
14歳だけでなく、大人になった私たちも今すぐ活用したいのが『いちばんやさしい衛星データビジネスの教本』。カーナビや気象予報など、我々はすでに衛星データにお世話になっている。今後はさらに、あらゆる職種や生活シーンで衛星データは必需となり、個人でも活用できるようになる。その具体的な方法をわかりやすく教えてくれる。
(紹介:原智子)