飲み星食い月す

Vol.23 チューインガムと宇宙飛行士

おしながき: 「Orbit」
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今回は、チューインガムの「オービット」を紹介する。アメリカならばどこでも手に入るこのガムは、シュガーレスタイプで、弾力性もあり、味も結構長持ちする。14 個入りのパッケージには「歯磨きしたてのようなさわやかさ」(Just Brushed Clean Feeling)とうたわれている。フレーバーは、写真に写っている5種類:ペパーミント、スペアミント、ウィンターミント、バブルミント、シナモンミントに加えて、新製品のシトラスミント、スウィートミントがある。

ところで、「Orbit」というからには、名前の由来を知りたかったのだ。が、残念ながらわからなかった。しかし、チューインガムは調べると宇宙飛行士との関わりがあった。まず、それを象徴するか?どうかはわからないが、おもしろいものを見つけた。それは、夜空に輝く白い歯のきらめきを通して、宇宙飛行士と母の愛を描く「Orbit」のコマーシャル映像だ。これだけでは何のことかわからないので、簡単に紹介しよう。

まずSF系の映画を思わせるような(?)ムードあるBGMが流れる中、軌道上の宇宙船に滞在中の孤独なロシア人の宇宙飛行士が思いにふけり、ガムをかむ。無重力環境で浮遊している母の写真に手に取る。そして、船窓から地球の方をじっとのぞきこむ。一方、母親も一人玄関前の椅子に座り、夜空を見上げ息子を想う。宇宙船の窓から微笑んだ宇宙飛行士の口元から、真っ白い歯がきらりと光る。なんとその輝きが、地球から夜空を眺めていた母親の目に飛び込んでくるのだ。そして思わず、「おお、息子よ!」と叫ぶのだ。この直後、コマーシャルは次のようなナレーションで終わる。「目もくらむような白い歯のために、オービット」

短いながら、よくできているこのコマーシャルは、モスクワの広告代理店BBDO MOSCOWが製作したもの。広告大賞のヨーロッバ版である「EPICA」で2004年度の菓子・スナック部門で受賞した作品だ。映像を見たい人は、EPICA、Orbitのキーワードで検索すると直接動画が公開されているページにたどりつけます。

ところでチューインガムは、宇宙滞在者にとって重要な役割を果たしていることをご存じだろうか。(1940年代に製造が開始されたチューインガム「Orbit」がそんな効果をすでに期待していたとは思えないのだが)金井三男のこだわり天文書評 中の「宇宙飛行士は早く老ける? - 重力と老化の意外な関係」にも書かれているが、実は、宇宙飛行士は積極的に口笛を吹いたりガムを噛んで、重力の影響を受けやすい下顎の骨を鍛えているのだ。

なお、現在日本科学未来館の館長をつとめている、元宇宙飛行士の毛利衛さんは、宇宙飛行士時代に寄せられた質問に対して、宇宙滞在のために、歯磨き効果のあるガムがあったらうれしいと答えている。「Orbit」のうたい文句「歯磨きしたてのようなさわやかさ」が、まさかこんな実情まで意識しているとは思えないが。実は、宇宙での歯磨きでは、うがいの水をなんと!そのまま飲み込まなければならないからだ。飲み込んで害のない歯磨き粉といわれても、毛利さんならずとも、苦手なのはうなずける。

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