第26回 ロケット打ち上げを見る 第1章
いざ種子島宇宙センターへ
(星ナビ2007年3月号に掲載)
今回は、かねてより憧れていたH-IIAロケットの打ち上げ見学顛末記です。
「七夕ランデブー」リメイク計画
昨年7月に、僕としては初の子ども向けプラネタリウム番組「七夕ランデブー」を制作、埼玉県の坂戸児童センター、千葉県立現代産業科学館で公開した一件については、2006年8月号で紹介させていただいた。いろいろな意味で入魂の作品だったが、手ごたえを感じた反面、まだやり足りない部分、こうすればよかったという部分が残ったのも確かだった。だから、リメイクして再び上映したいという気持ちは常に持っていた。
そんな僕に流れ込んできたのが、今年7月から11月の4か月にわたって開催される『みらい九州こども博2007』でのメガスター出展の話だった。子ども向けならば「七夕ランデブー」でいこうと考えた僕は、このときまでにパワーアップして、本当に満足いくレベルに仕上げて公開することを心に決めた。
特に手を加えたかったのが、ロケット打ち上げ前後のシーンであった。主人公の子どもたちが種子島宇宙センターにしのびこみ、ロケットにこっそり乗り込んで打ち上がってしまう(ありえません実際には)のだが、この宇宙センターでの映像を、もっぱら写真資料に依存していたので、映像表現として追求しきれない面があった。
打ち上げシーン見学の誘い
そんなおりに、JAXAから、H-IIAロケット11号機による「きく8号」の打ち上げを見学しないかという話が舞い込んだのだ。僕は、ちょうどプラネタリウムのデジタル化に向けた開発研究を、JAXAとの共同研究プロジェクト「宇宙オープンラボ」の中で進行中である。その関連の中で自然に出た話なのだ。僕がロケットの打ち上げを高解像度の映像で撮影したいという話をすると、ちょうどJAXAでもロケット打ち上げの記録をハイビジョンで記録しようという企画が持ち上がっていたとのこと。こうして、JAXAと僕の共同で、H-IIAロケット11号機のハイビジョン撮影プロジェクトがスタートしたのだった。
いくつか課題があった。まずスケジュールである。ロケット打ち上げは12月16日。しかしメガスターを設置して半年にわたり開催されている日本橋HD-DVDプラネタリウム「北斎の宇宙」のオープンがこの前日。記者発表会もあってどうしても出なければならない。だから宮本亜門さんや緒形拳さんらとの記者発表とその後の取材応対を済ませ、そのまま羽田から種子島に向かうという強行スケジュールが組まれた。そして、12月15日。綱渡りの状態で、撮影機材一式をかかえて、僕は、はるばる鹿児島県種子島にやってきたのだった。(続く)