メガスターデイズ 〜大平貴之の天空工房〜

第43回 メガスターZEROの納入

星ナビ2008年8月号に掲載)

お待ちかねのメガスターZEROについてお話しします。

量産型1号機はプラネタリウムBARに

大平技研の次世代プラネタリウム「メガスターZERO」の1号機が、いよいよ納入された。納入先は、東京の白金台にある「プラネタリウムBAR」だ。星空を見ながらお酒や食事を楽しめる異色のBARとして、星ナビ(2007年5月号)はもちろん、新聞や雑誌などでも紹介されてきたので、ご存じの方も多いだろうと思う。ここには、メガスターZERO設置前からプラネタリウムがすでにある。コニカミノルタプラネタリウム製のデジタルプラネタリウムである。そこにメガスターZEROが加わる形なのだ。

なぜもともとプラネタリウム投影機があるのに新たにメガスターZEROを設置することになったかというと、光学式プラネタリウムとデジタルプラネタリウムがまったく異質のものだからである。デジタルプラネタリウムは、コンピュータで生成した画像をドームに投影する方式なので、事実上どんなものでも投影できる万能性を持つ。しかし、星空のリアリティに関しては、どうしても光学式プラネタリウムが勝る。特にメガスターはリアルさを追求した投影機である。それでメガスターに白羽の矢が立ったのだ。言い換えれば、デジタルプラネタリウムはメガスターにはできない演出機能を数多く備えているので、両者はむしろ補い合う関係なのだ。

6月16日、メガスターZEROの量産型1号機「プラチナ」を納入、設置した。星空を映してみると、オーナーの白石さんもずいぶん喜んでくださったようだ。じつはひとつサプライズがあった。メガスターZEROの標準スペックは恒星数220万個だが、このプラチナは、特別仕様で500万個なのだ。これはメガスターIIに匹敵する数字である。

メガスターZEROは、この1号機を皮切りに、すでにいくつかの納入が決定している。そして、さらに大きな舞台が待っている。この原稿が皆さんの目に触れるころには、それはもう結果が出ていることだろう。その舞台とは、米国シカゴのアドラープラネタリウムで開催されるIPS(国際プラネタリウム協会)のカンファレンスである。ここでメガスターの実演を含めたやや大がかりな発表を行うことになった。その結果はいかに。それについては次号でお伝えすることとしたい。

1号機「プラチナ」

プラネタリウムBARに1号機「プラチナ」が設置された。