イギリスの隕石探索隊が2つの貴重な隕石を発見

【2000年2月11日 (BBC, 2000/2/8)

イギリスの隕石探索隊がナミビアのナミブ砂漠で2つの極めて珍しい隕石を発見した。これらは地球の最深部について知る上での重要な資料になる。

これらの隕石は地球の岩には決して含まれていない鉱物を含むが、それらの鉱物は地球内部の大部分を構成していると考えられるもの。

これらのringwooditeおよびmajoriteと呼ばれる鉱物は、地球の地下400kmより深い超高圧の部分のみを形成しているため、地球表面の岩には含まれない。しかし地球のマントルはさらに2900km深くまで広がっているため、これらの鉱物は地球のかなりの部分を構成していることになる。

そして今、宇宙から偶然やってきたこの隕石により、鉱物学者は地震や火山噴火の原因となる地球深くのこの領域についてより深く理解するためのサンプルを得た。

探索隊のメンバーで、ロンドンの自然博物館に所属するSara Russell博士は「この現実のサンプルにより、自然界における鉱物の形成においてより深い理解が得られるだろう。」と言っている。

「実験室で鉱物を合成することは可能だが、実験室で行えることの限界により、不純物が鉱物にどのように影響を与えるかについてはまだわかっていない。」

「そしてこれらの隕石は地球の大部分を構成するそれと同じ構造を持っており、これらが持つ鉱物学的な変化は惑星を理解する上で直接的な関連を持っている」

これらの隕石に含まれる超高圧鉱物は、ドラマティックな起源を持つと考えられている。つまり、太陽系の初期における小惑星同士の大衝突だ。

何十億年も前のそのような時期には、小惑星帯は今よりずっと高密度で、衝突はありふれたことであった。特に激しい衝突の衝撃により小惑星の一部が溶かされ、溶けた岩の中で新しい鉱物が形成された。

そして永劫の時が流れ、変質したこの岩は地球の重力に捉えられ、地上へと落下した。このナミブ砂漠で発見されたサンプルは1km少し離れて発見されており、元々は同じ隕石だったと思われる。太古の衝突により約20%が溶けていた。

この2つの破片は136gと80g。この重量では、地球との衝突の衝撃でこれらが持つ希少鉱物が形成されたと考えることはできない。

今回のナミビア探索では、全部で13個の隕石が発見された。イギリスの過去20年間の隕石探索において最も成功した探索となった。今回の希少鉱物の発見は、今年後半に予定されているNASAのジョンソン宇宙センターにおけるカンファレンスで詳しく報告される予定。

Russell博士とその同僚のMatt Genge氏、Phil Bland氏およびジョンソン宇宙センターからのMike Zolensky氏は、隕石捜索のために干上がった地で数週間を過ごした。

この乾いた気候のおかげで金属が多く含まれる隕石でも錆びてしまうことはない。今回発見された隕石の多くは地球に落ちてから一万年以上が経過していると考えられる。

これらの隕石が売買されることはないが、これらの持つ商業価値は探索にかかった費用の3倍以上にあたる。

「ナミビアで我々が発見したものは、全体のごく一部に過ぎない。ぜひ再び行きたい。」とRussell博士は語った。