英BAEシステムズ社、反重力研究を開始

【2000年3月29日 BBC News (2000/3/27)

英国のハイテクグループBAEシステムズ社の軍事部門(旧ブリティッシュ・エアロスペース社)は、反重力研究を開始したことを認めた。これは、現代物理の基本法則と考えられているものへの挑戦だ。

プロジェクト・グリーングロウ(Project Greenglow)と呼ばれるこの研究プロジェクトは、様々な経緯を持つ科学者たちに未来のテクノロジー――これはNASAの革新的推進物理計画(NASA Breakthrough Propulsion Physics Program)が目指す、推進剤不要の推進システムと似た響きがあるものだが――に関する研究の場を与えるもの。

このプロジェクトで何らかの成果が得られれば、移動手段に革新的な進化がおこるだろう。反重力デバイスにより航空機や宇宙船がより容易になるばかりではなく、次世代の車は地面から離れるものになるかもしれない。

1996年、あるロシアの物理学者が行った実験が物理学会においてばかにされた。Yevgeny Podkletnov博士が物理学誌「Physica C」に寄稿した、回転する超伝導円盤がその重量の一部を失うという内容のものだ。この論文は採用されなかったが、彼はその中でそのような円盤は重量の2%を失うと主張していた。

ほとんどの科学者は、反重力研究は根本的に間違っていると信じている。それによると、反重力は今日我々が知っている宇宙法則に反するものであり、したがって不可能であるという。

「そんなことを始めるなんて、気違いじみている。」アメリカ物理学会(American Physical Society)のBob Park氏はBAEの告白に対してこう反応している。「こんな決定は、上層部に基礎物理をちゃんと知らない人がいる場合にしかできない。」

「現実離れしたプロジェクトであっても、わずかでも成功の可能性があるなら、それに投資することはできるだろう。このことは『パスカルの賭け』と呼ばれる。しかし、今回のケースでは、ほとんどの科学者は成功の可能性はゼロであると言うだろう。」

だが、そんな意見があるにもかかわらず、SFにおいてはよくあり、無数のウェブサイトを感化することになったこの反重力推進の研究は進められる。

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