百武彗星、彗星の尾の最長記録を更新 (Spaceflight Now)

【2000年4月6日 Spaceflight Now (2000/4/6)

最近の研究により、1996年に多くの人々の目を楽しませた百武彗星(C/1996 B2)が、これまでで最長の尾を持っていたことがわかった。百武彗星の尾の長さは少なくとも5.7億kmで、それ以前の最長記録は1843年の3月大彗星の3.3億km。

この発見は、インペリアル・カレッジ(ロンドン)のGeraint Jones博士、Andre Balogh教授、ならびにクイーンメリー・アンド・ウェストフィールド・カレッジ(ロンドン)のTim Horbury博士らによるユリシーズ(Ulysses)探査機の1996年の観測データの分析によって得られた。ユリシーズ探査機は、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)が製作し1990年10月にNASAが打ち上げた太陽・深宇宙探査機。

彼らがユリシーズ探査機の1996年5月1日の磁気圏観測データを分析した結果、ユリシーズ探査機がその日、彗星のイオンテイルの中を通過したことがわかったが、さらに調査を進めると、なんとそれは百武彗星ものであったことが判明した。このときユリシーズ探査機は太陽から5.6億kmの距離にあり、百武彗星は近日点(太陽に最も近づく地点)付近にあった。イオンテイルが曲がっていることを考慮に入れると、このときの百武彗星の核からユリシーズ探査機までのイオンテイルの長さは約5.7億kmとなる。

この発見は、「ネイチャー」誌の4月6日発売号に報告されている。