HSTの200倍の角分解能を目指す光学干渉計CHARAの建設が進む
【2000年10月12日 SPACE.com (2000.10.5)】
ジョージア州立大学は、光学干渉計「CHARA」をウイルソン山の山頂に建設中だ。「CHARA」は「Center for High Angular Resolution Astronomy」の略で、高角分解能天文学センターの意味。
CHARAはY字型に並んだ6基の1m望遠鏡とY字型中央のビーム合成センターから成る。6基の望遠鏡からの光は真空パイプを通して中央の合成センターに集められ、干渉分光法と呼ばれる手法により合成される。これにより、ひじょうに高い角分解能の画像が得られる。
CHARAは1999年11月に2基の望遠鏡での初観測に成功した。最近になって3基目の望遠鏡も稼動を開始した。6基全ての完成後はハッブル宇宙望遠鏡の200倍の角分解能が達成できると見込まれている。
CHARAの完成後は、恒星の直径の直接測定や恒星の表面温度の測定、惑星や褐色矮星の捜索などに重要な成果が期待されている。
ウイルソン山は、大都会ロサンゼルスのすぐ北に位置するが、太平洋から吹く恒常風により大気の状態がとても安定しているという特長を持つ。この山頂には、いくつかの望遠鏡が設置されているが、どれも古いものである。そのうちひとつは1917年完成のフッカー2.5メートル望遠鏡だ。フッカー望遠鏡は当時の世界最高性能の望遠鏡であり、1920年代にはかのエドウィン・ハッブル博士も使用していた歴史的な望遠鏡である。
CHARAの登場により、このウイルソン山は再び天文学の最前線となる。
なお、ウイルソン山はジョージア州からは遠いが、CHARAの全機器はジョージア州からの遠隔制御が可能だ。
干渉分光法は、電波観測においてはすでに広く用いられている手法だが、可視光域での干渉分光法の技術が確立されたのは最近のことである。
近い将来には、ハワイ・マウナケア山頂のケック光学干渉計、チリ・パラナルのVLT光学干渉計も稼動を開始する。
NASAおよびヨーロッパ宇宙機関(ESA)はそれぞれ、宇宙ベースの光学干渉計も計画している。
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