[HST] 球状星団きょしちょう座47に惑星を検出できず
【2000年11月8日 STScI-PR-00-33 (2000.10.31)】
これは、南天の球状星団「きょしちょう座47」。左はオーストラリア最大の3.9mのアングロ‐オーストラリア望遠鏡 (AAT) によりとらえられた広域画像で、右はNASAのハッブル宇宙望遠鏡 (HST) によるクローズアップ画像。HSTの画像は星団の中央部付近をとらえており、約3万5000個の恒星が写っている。この星団は5等級と明るいため、「きょしちょう座47」と星の名がついている。また、球状星団としてはオメガ星団に次いで全天で2番目に明るい。太陽系からの距離はおよそ1万5000光年。球状星団としては比較的若いことが知られている。
HSTによる今回の観測は惑星の検出をめざしたもので、主星にごく近い軌道を3日〜5日という短い周期で巡る大型のガス惑星が検出できるかもしれないと期待されていた。しかし、結果は0個であった。この結果から、球状星団の環境は惑星の生成に不適であるか、または惑星の原料となる物質そのものが欠乏している可能性が示唆される。
HSTの第2広視野/惑星カメラにより撮影されたこの画像は、恒星の本来の色を再現したものとなっている。恒星の色からは、恒星の年齢などがわかる。たとえば赤い星々は、寿命が近づき大きく膨れ上がった赤色巨星であり、黄色っぽい星々は、私たちの太陽に似た寿命の中盤にある恒星である。
この星団の星々は、およそ100億年前に誕生したと考えられている。数少ない明るく青白い星々は恒星どうしの衝突・融合の結果生まれたものと考えられ、寿命の後半に差し掛かった星々の間に若くエネルギーに満ち溢れた輝きを放っている。
HSTの画像は、1999年7月の撮影。
Credits for HST image: NASA and Ron Gilliland (Space Telescope Science Institute) Credits for AAT image: David Malin, (c)Anglo-Australian Observatory