[HST] 太陽系からもっとも近い中性子星を観測

【2000年11月15日 STScI-PR00-35 (2000.11.9)

この画像は、この画像は、NASAのハッブル宇宙望遠鏡 (HST) の第2広視野/惑星カメラがとらえた「みなみのかんむり座」にある中性子星「RX J185635-3754」。この画像からは読み取れないが、HSTによる観測からこの中性子星の持つ年周視差 (地球の公転運動にともなう見かけ上の視位置の違い) が0.0016秒角であることがわかり、その結果この中性子星までの距離が約200光年と求められ、太陽系からもっとも近い中性子星であることが判明している。

HSTがとらえた「みなみのかんむり座」にある中性子星「RX J185635-3754」の固有運動のようす

この画像は、1996年10月6日、1999年3月30日、1999年10月16日に撮影された画像を加算合成したもので、中性子星の固有運動のようすがわかる。画像上が南、右が東。視野角は、横8.8秒角、縦6.6秒角 (1秒角=1/3600度)。固有運動の速度は角速度で毎年およそ0.3秒角で、時速ではおよそ38万9000キロメートル。太陽系に近づきつつあり、約30万年後に太陽系に最接近する。そのときの距離はおよそ170光年で、太陽系に影響は無い。

この中性子星は、直径約20kmほどの小さな天体だが、密度は鉄の約100兆倍もある。約100万年前に超新星爆発を起こして寿命を終えた恒星の核の名残りと考えられており、その超新星爆発は、地球からも観測できただろう。

Image credit: NASA and F.M. Walter (State University of New York at Stony Brook)