木星と土星の新衛星

【2000年12月1日 国立天文台天文ニュース (396)

木星に1個、土星に2個の新衛星が発見されました。

ハワイ大学のシェパード(Sheppard,S.S.)たちは、2.2メートル反射望遠鏡による11月21日から25日にかけての観測で、木星に新衛星らしい天体を発見しました。これには、すぐにS/2000 J1の認識符号が与えられました。引き続いて、この衛星は8月6日にホルマン(Holman,M.)が3.6メートルのカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡で観測した天体と同じであろうと推定され、さらに、天体物理学センター(Center for Astrophysics; CfA)において、マースデン(Marsden,B.)の示唆によりウイリアムズ(Williams,G.V.)が計算した結果、この衛星は1975年にコワール(Kowal,C.T.)とローマー(Roemer,E.)が発見し、その後行方不明になっていた衛星を再発見したものであることが確実となりました。この衛星の軌道要素は、軌道傾斜角45.6723度、離心率0.204340、長半径0.049380 AUで、129.71日の周期で木星を回っています。確認された木星の衛星はこれで18個になりました。

グラッドマン(Gradman,B.)たちが土星に4個の新衛星を発見したことはすでにお伝えしました(天文ニュース388)。新衛星はこれだけにとどまらず、グラッドマンたちはさらに2個の新衛星の発見を追加しました。これらは、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の2.2メートル、マウナケア山の3.6メートル、キットピークの2.3メートル、ESOの8メートルVLTなどの望遠鏡により、この8月から11月にかけて22等台の明るさで観測、確認された結果で、これら新衛星の認識符号は、S/2000 S5およびS/2000 S6となりました。マースデンたちの計算による軌道要素をさきに発見されたS/2000 S2とともに示しますと、以下のようになります。

            軌道傾斜角      離心率           長半径
S/2000 S2      48度         0.46            0.098AU
S/2000 S5      49度         0.14            0.074AU
S/2000 S6      47度         0.38            0.085AU

ただし、S/2000 S3とS/2000 S4はまだ軌道がはっきりせず、早急な追加観測が望まれます。また、S/2000 S1は逆行で、第9衛星フェーベにつぎ、土星の二つ目の逆行衛星です。これで、確認された土星の衛星は、惑星としては最多の24個になりました。

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