小惑星2000 YAが地球近くを通過
【2000年12月21日 国立天文台・天文ニュース (404)】
直径50メートルほどの小惑星が、12月22日に地球のすぐ近くを通過します。しかし、地球に衝突するおそれはまったくありません。
ローエル天文台、ロネオス (the Lowell Observatory Near-Earth Object Search; LONEOS) チームは、口径0.59メートルのロネオス・シュミットカメラにより、17.5等の明るさの小惑星を12月16日に発見しました。この小惑星には2000 YAという認識符号が付けられています。その後の観測によって軌道が決定された結果、この2000 YAは、12月22日6時40分(世界時)ころ、地球からわずか0.0049天文単位 (73万キロメートル) のところを通過することがわかりました。この距離は、太陽系の中では確かに非常に近いものですが、それでも月の距離の2倍程度はあり、衝突とはほど遠い距離です。地球に対する最接近の位置は、およそ東経170度、北緯40度の日本の東方の太平洋上で、北東から南西に向けて通過します。最接近時には15等ぐらいの明るさになると推定されます。なお、この小惑星は、離心率0.652のかなりつぶれた楕円軌道で、3.68年の周期で太陽を回っています。
マサチューセッツ工科大学 (MIT) のビンゼル (Binzel,R.P.) たちがパロマー山の5メートル望遠鏡を使って12月17日おこなったスペクトル観測によりますと、2000 YAはS型の小惑星で、絶対等級23.7等、反射能0.2、直径50メートルと推定されるそうです。
これまでに知られている中で、もっとも地球の近くを通過した小惑星は、1994 XM1の符号をもつ直径10メートルほどのもので、1994年12月9日に地球から約0.0007天文単位(10万キロメートル)のところを通過しています。最近では、今年の5月6日に、2000 SG344の符号をもつ小惑星が、地球から約0.0038天文単位(57万キロメートル)のところを通過しました。これらと比較すればは2000 YAは接近といってもまだかなり遠く、接近距離では知られている中で12番目くらいになります。もちろん、気付かれずにもっと近くを通過したものは、これまでにたくさんあったに違いありません。現在は各国が地球接近天体を精力的に捜索していますから、さらに地球に近付く天体もいつかは発見されるに違いありません。
<参照>
- IAUC 7544 (Dec.18,2000)
- MPEC 2000-Y03 (Dec.17.2000)
- MPC: Closest Approaches to the Earth by Minor Planets
<関連ニュース>
- 2000.11.9 小惑星衝突報道の詳細
- 2000.11.9 地球衝突の危険をはらむ地球近傍天体2000 SG344