[訃報] X線天文学のパイオニア、小田稔氏が死去

【2001年3月2日 アストロアーツ】

X線天文学を日本の「お家芸」に育て上げた小田稔(おだ・みのる)氏が3月1日午後3時24分、心不全のため東京都内の病院で死去されました。78歳でした。

氏は、X線源の位置を正確に測定することができる「すだれコリメーター」と呼ばれる観測装置の発明で知られ、X線天文学を拓いてこられました。その観測装置を初めて搭載し、氏が観測チームの代表をつとめた日本初のX線天文衛星「はくちょう」(1979年〜1985年) は、日本のX線天文学を世界のトップレベルに一気に押し上げました。それに続く「てんま」(1983年〜1989年)、「ぎんが」(1987年〜1991年)、そして「あすか」(1993年〜) も、常に世界のX線天文学をリードしてきました。

札幌市に生まれ大阪帝国大を卒業。マサチューセッツ工科大学 (MIT) 教授、東京大宇宙航空研究所教授 (現・文部科学省宇宙科学研究所)、宇宙科学研究所所長、理化学研究所理事長を歴任。1993年文化勲章、1997年勲一等瑞宝章を授賞。東京大学名誉教授、東京情報大学学長。

なお、X線観測衛星「あすか」は2001年3月2日14時21分、まるで氏の後を追うように大気圏に再突入して消滅、その生涯を終えた。

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