ミール落下は23日が最有力 日本付近落下の可能性は極めて低い
【2001年3月20日】
いよいよミールの落下が迫ってきた。ロシアは、モスクワ時間本日午後3時 (日本時間午後9時) 開催予定のロシア政府の省庁間委員会において、議論の上、ミール落下計画に関する最終決定を行なう予定だ。
ロシア航空宇宙省ツープ飛行管制センターによると、ミール落下はモスクワ時間3月23日午前9時 (日本時間午後3時) ごろが最有力という。
ミールは、落下の直前に日本付近の上空約150キロメートルを通過するコースを通って南太平洋に指令落下させられる。したがって、ミール落下の際の制動噴射が過剰だった場合、落下地点が日本に近づくことになるが、ロシアは制動噴射において燃料をちょうど使い切る計画であるという情報もあり、そうであれば噴射が過剰となる可能性はまず無い。
逆に、制動噴射が過少であった場合、落下地点が東寄りとなり、南アメリカ大陸の最南端部付近に落下する危険がある。また万一、制動噴射が全く行なえなかった場合は、完全な自由落下となるわけで、ミールがどこに落下するかは落下直前まで予測できなくなる。完全な自由落下の場合、ミールが上空を通過する南緯52度と北緯52度の間の地域全ていずれもに落下する可能性ある。その場合でも、陸地より海洋の面積がずっと大きく、また陸地面積のうちでも人が居住している地域の面積はそう大きくないわけであるから、人的被害が出る可能性は低い。
ただ、ロシアはこれまでに年間何回も無人貨物船プログレス (ミールと同様、落下の際に完全には燃え尽きない) を指令落下させてきており、人工衛星の指令落下には慣れているといえる。今回のミールはプログレスよりはるかに大きいわけだが、落下時の制御の難易度はプログレスの場合とそう大きな差があるわけではない。また、ミールが老朽化していることが落下制御の障害となることも心配されているようだが、落下の制動作業の主役は、ミール本体ではなくミールにドッキング中の真新しいプログレスであるから、ミールの老朽化は大きな問題とはならないだろう。
文部科学省・ミール情報収集分析センターの推算によると、ミールの落下計画が計画通りに行なわれる可能性は、97%〜98% (ロシア政府発表)。そして万一失敗して自然落下となった場合でも、日本に人的被害が出る可能性は、1000万分の3程度という。
ロシア航空宇宙庁飛行管制センターの発表によると、現地時間3月18日の段階でのミールの軌道の平均高度は230.9キロメートルで、1日あたり2.6キロメートル自然降下している。完全な自然落下の場合の落下予測日は、3月26日〜31日の間。
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