ろ座銀河団のNGC 1365に明るい超新星2001duが出現
【2001年8月28日 VSOLJ ニュース (070) (2001.08.27)】
オーストラリアの超新星ハンターとして高名なR. Evansさんが、14等という明るい超新星2001duを眼視で発見されました。CCD観測が全盛の昨今では、眼視による超新星発見はかなり珍しくなっています。母銀河であるNGC 1365は、距離がかなり正確に18Mpcほどと求められており、超新星はさらに明るくなる可能性があります。
この超新星は、8月24.7日(世界時、以下同様)に発見されました。前日に見た時には、やや空の状態が悪かったが天体は認められなかったとのことです。他の観測者が23.7日に撮影した画像には超新星が写っていて、15.76日撮影のものには写っておらず、この天体が爆発後それほど時間が経っていない新鮮なものであると推察されます。超新星の位置は、
赤経3時33分28.7秒 (2000年分点)
赤緯-36度08分32秒
と報告されています。母銀河である棒渦巻銀河NGC 1365の中心核から真西におよそ90秒角にあたり、棒状の部分の西端の、H II領域が見られる部分に重なっています。この銀河は、見かけの直径が10分角ほどもある大きなもので、私たちの銀河に属する前景の星もいくつか重なっていますので、超新星と見間違わないように注意が必要です。
NGC 1365は、今の時期日本からですと、明け方の南に低い「ろ座」にあります。周囲にはNGC 1316などの明るい銀河が散らばっており、「ろ座銀河団」をかたちづくっています。この銀河団の銀河は、ハッブル宇宙望遠鏡の主要プロジェクトである「セファイド型変光星を使った銀河の距離測定」の対象になっていて、NGC 1365も距離がかなり正確に求められています(18Mpc)。おとめ座銀河団とほぼ同じ距離にあたります。この距離では、典型的なIa型超新星は極大12.5等ほどになりますし、その他の型の超新星でも14等程度の極大が見込めます。NGC 1365はこれまでに2つの超新星が発見されており、また同じ「ろ座銀河団」に属するNGC 1316では、いずれも極大で12.5等ほどになったIa型超新星1980Nと1981Dが見つかっています。今後SN 2001duは、分光によるタイプ決定、光度変化の追跡が重要であるとともに、電波・X線を含む多波長観測によって、この超新星の性質が調べられていくと期待されます。
著者 :山岡均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp
<参考>
- ハッブル宇宙望遠鏡によるNGC 1365の観測
http://oposite.stsci.edu/pubinfo/PR/96/21.html
<参照>
<関連ニュース>
- 1999/10/06 銀河の形成過程の鍵をにぎるバルジ