ポルトガルのA. Pereira、いて座に新星らしき天体を発見
【2001年8月28日 VSOLJ ニュース (071) (2001.08.28)】
IAUC No. 7692 によれば、8月26.866日 (UT) ポルトガルの Alfredo J. S. Pereiraはいて座に7.6等の新星らしき天体を眼視発見しました。前日の眼視捜索では見つからなかったそうです。この報告を受けて、8月27日に確認観測が行われ、27.00日(UT)に G. Nappi が CCDで確認観測をしました。位置は以下のように報告されています。
18h 24m 46s.04 (J2000.0)
-30゚ 00' 41".1
(G. Nappiの画像から測定)
その後も眼視・CCD・光電測光による確認観測が進められました。スペクトル観測はまだ報告されていませんが、8月27日に P. M. Kilmartin の行った光電測光によれば、新星のような爆発型天体によくみられる強い紫外線が観測され(*1)、爆発前のスカイサーベイ画像に17.5等よりも明るい天体がみられないことから、天体はおそらく新星爆発を起こしている天体であろうと思われます。スペクトル観測による確認が望まれます。
天体には現在のところ暫定的な名称として Nova Sgr 2001 No. 2 (いて座2001年第2新星) という名称が与えられていますが、近々最終的な名称(学術名)が与えられるでしょう(*2)。
なお、Alfredo J. S. Pereira は、最近では久々の肉眼新星となった V1494 Aql(= Nova Aql 2001 No. 2) も眼視発見しています。Pereira は双眼鏡で見える星の配列をほとんど記憶しているとのことですが、眼視発見によって7等級の暗い新星が見つけられることは大変珍しいことです。Pereira の捜索方法や、V1494 Aql の発見手記は以下のページにも掲載されています。
観測用星図などは、VSNETのホームページでも公開の予定です。公開時期はまだ未定ですが、以下を時々チェックしていただけるとよいでしょう。
(*1) 強い紫外線を出す爆発型の天体は新星以外にも存在します。この観測だけから新星と断言することは難しいですが(同じ観測者によって強い紫外線が確認されていながら新星として公表されなかった天体が過去にもあります)、爆発型の突発天体であることは間違いないでしょう。
(*2) Nova Sgr 2001 No. 2 のような名称は、いわゆる「通称」です。文献によって異なる番号付けがされる場合もあり、最終的な確定名称としては、後ほど変光星としての正式名称が与えられます。通称は必ずしも付けられるとは限らず、長谷田さんのさそり座の新星(2001)のように、通称が与えられる前に確定名称(V1178 Sco)が与えられたものもあります。
著者 :加藤太一(京大理)
連絡先:tkato@kusastro.kyoto-u.ac.jp
<参照>
<関連ニュース>
- 2001/06/25 長谷田さんの天体、V1178 Scoと命名される
- 1999/12/03 肉眼でも見ることができるわし座新星