すばる望遠鏡がとらえたM31銀河のカラー画像
【2001年9月10日 すばる望遠鏡ニュース (2001.09.07)】
日本の誇る「すばる望遠鏡」(口径8.2メートル、ハワイ島マウナケア山頂)がとらえたM31銀河のカラー画像が公開された。この画像から、これまでは知られていなかった多数の星雲・星団が新たに発見された。
露出時間はBバンド (青)、Vバンド (緑)、Hαバンド (赤) の各フィルターについてそれぞれ2分×5フレーム、総計30分間。視野は、横18分角、縦が25分角。(画像提供=国立天文台) |
このすばらしい画像は、すばる望遠鏡主焦点カメラ「Suprime-Cam」によるもの。このクラスの望遠鏡で主焦点カメラを備るのは、すばる望遠鏡だけだ。
望遠鏡は一般に大型になるほど集光力と角分解能が高くなるが、逆に視野は狭くなり、M31のような見かけの大きさが大きな天体を総括的に研究することが難しくなってしまう。
しかし、すばる望遠鏡は、中空の主焦点にカメラを設けることで、この欠点を克服し、満月と同程度もの広い視野を実現しているのである。同じSuprime-Camを主鏡の裏側にあるカセグレン焦点にとりつけた場合と、主鏡の前面の中空にある主焦点に取りつけた場合とでは、主焦点に取りつけた場合のほうが視野が30倍 (面積比) も広いが、角分解能は同等である。(2000年7月の「今月のすばる」参照)
通称「アンドロメダ銀河」として広く親しまれているM31 (もしくは NGC224) 銀河は、太陽系から約250万光年の距離にあり、大型の銀河としては私たちの太陽系を含む銀河系 (天の川銀河) から最も近い。このため、大型銀河を研究する上での重要な研究対象となっている。天の川銀河も、遠くから見るとこのアンドロメダ銀河とよく似ていると考えられている。
このカラー画像では、左上から右下方向に行くにつれ、色合いが黄色〜青色に変化しているのがよくわかる。これは、銀河中心近く (左上) の方が古い恒星が多く、銀河の外縁部に行くにつれ若い恒星が多くなっていることを反映している。この画像からはすでにこれまでは知られていなかった多数の星雲・星団が新たに発見されており、さらなる分析から、銀河内における星の形成や進化について、新たな認識が得られると期待されている。
現在、観測データの詳しい解析が、宮崎聡 (国立天文台)、小平桂一 (総合研究大学院大学)、ヴラダス・ヴァンセヴィシウス (リトアニアのビリニュス天文台) らによって進められている。