HETE 衛星が、貴重なガンマ線バーストの残光を見つける
【2001年11月14日 NASA ゴダード宇宙センター(11 月 7 日)】
宇宙でもっとも強力なタイプの爆発、ガンマ線バーストの可視光での残光が、NASA の衛星 HETE(High Energy Transient Explorer)によって得られた情報をもとに発見された。この衛星は transient(一時的な,つかの間の)という名が示すとおり、頻繁に発生するが数秒しか続かない高エネルギー爆発現象を研究するための初めての衛星である。
今回 HETE によって捉えられたガンマ線バーストは 9 月 21 日にとかげ座で起こったもので、地球からの距離はおよそ 50 億光年ほどと比較的近い。ガンマ線バーストは 100 億光年以上離れたものもあるのだ。HETE の主任である George Ricker 博士は次のように語っている。「今回のガンマ線バースト現象とその残光を観測できたことで、我々は本当に研究の山場を越えた。HETE がもっと多くの現象の位置を測定してくれれば、何がガンマ線バーストを起こしているのか理解し始められそうだ」
可視光の波長で残光をみることができれば、何がこの謎に包まれたバースト現象を引き起こしているのかについての決定的な情報を与えてくれる。今のところは科学者たちは、バーストを引き起こしているのは大質量の星の爆発か、あるいは中性子星とブラックホールの合体か、ひょっとするとその両方であると予測している。
HETE は、バースト現象をガンマ線や高エネルギー X 線で検出すると、すぐにその位置を地上の望遠鏡や軌道を周回している他の衛星に中継する。これによって、多くの望遠鏡を使ってさまざまな波長でガンマ線バーストの残光を観測することができる。今回の可視光での残光は、HETE の情報をもとに翌 22 日にパロマー山の 200 インチ望遠鏡で撮影されたものである。
HETE は 2000 年 10 月に打ち上げられ、2004 年まで観測を続ける予定だ。