浅見さん等、新彗星を発見

【2001年11月22日 国立天文台天文ニュース (498)(11 月 29 日更新)

美星スペースガードセンターの浅見敦夫(あさみあつお)さん等が、新彗星を 発見しました。

11月21日夜、岡山県美星町(びせいちょう)、美星スペースガードセンターの浅見さん等は、口径50センチの「美星小惑星追跡望遠鏡(Bisei Asteroid Tracking Telescope for Rapid Survey)」による観測中に、そのCCD像から、「ヘルクレス座」に13.8等の新彗星を発見しました。報告によりますと、コマ直径が30秒で、長さ30秒の短い尾が認められ、東南方向へ移動しているとのことです。

この発見は洲本市の中野主一(なかのしゅいち)氏を通じて国際天文学連合に報告され、この新彗星にはC/2001 W2の認識符号が与えられました。発見後いくらも時間が経っていないので、日心軌道はまだ求められていません。このあと「浅見彗星」の通称になる見込みが大きいと思われます。日本人による新彗星発見は、ほぼ1年前に宇都宮章吾(うつのみやしょうご)さんによる「宇都宮・ジョーンズ彗星(C/2000 W1 Utsunomiya-Jones)」発見以来のことです。

美星スペースガードセンターは、地球に接近し衝突するおそれのある小惑星や、宇宙デブリ(廃棄された人工衛星、その破片、打ち上げのときに生じたロケットの部品など)を観測する目的で設立された財)宇宙フォーラムの施設です。このセンターの運用を、NPO法人(特定非営利活動法人;Non-Profit Organization)の日本スペースガード協会が行っています。その施設は1998年から2004年にかけて建設が予定されています。小惑星衝突が人類に及ぼす危険はいうまでもありませんし、宇宙デブリはスペース・シャトルなど有人宇宙探査機に衝突すると大きな危険が推測されます。それらの危険を避けるため、あらかじめこれらの天体やデブリを観測することを目標にしています。観測施設は、口径1メートルおよび50センチメートル、25センチメートルの三基の反射望遠鏡を備えた岡山県美星町の光学観測施設と、岡山県上斎原村に置くレーダー観測施設の二つで構成される予定です。50センチメートルと25センチメートルの望遠鏡は2000年2月からすでに観測運用が始まっていて、今回の新彗星はこの望遠鏡で発見されたものです。

(11 月 29 日 追記)国際天文学連合回報(IAUC)No.7760によると、この彗星は観測装置名をとって COMET C/2001 W2 (BATTERS)と呼ばれることになりました。また、MPEC 2001-W53には"0.25-m/f/5.0"とありましたので、関係者に確認したところ、IAUC No.7758の記述が間違いで、発見は25センチメートル望遠鏡でなされたものだということです。

BATTERS(Bisei Asteroid Tracking Telescope for Rapid Survey):
日本スペースガード協会の小惑星観測プロジェクトの愛称です

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