VLT が撮影したわし星雲 M 16
【2002 年 1 月 8 日 ESO PR Photos】
へび座にある散光星雲 M 16 は「わし星雲」という名前で知られているが、1995 年にハッブル望遠鏡が撮影した非常に美しい写真で一躍脚光を浴びた天体である。そのわし星雲の中心部を、今度は ESO(ヨーロッパ南天天文台)の VLT(The Very Large Telescope)が赤外線波長で撮影した。そこには最近起こったと思われる星形成の証拠が見つかった。
これらの巨大な円柱はガスやチリからできており、近くにある若い星団 NGC 6611 中の明るくて放射の強い大質量星によって変形させられたり照らされて光ったりしている。そして、これら円柱の中ではもっと若い星々が形成されていると考えられている。
ESO は、パラナル観測所にある 8.2m 望遠鏡に ISAAC と呼ばれる赤外線観測装置を取り付け、わし星雲を高い空間分解能で観測した。望遠鏡の優れた性能を活かし赤外線で観測することで、生まれたての星から来る光をダストに隠されることなく探すことができたのだ。
3 本の円柱のうち 2 本(上の写真では上 2 本、下の写真では左 2 本)には、その先端に非常に若くて比較的重たい星々がある。その他 10 個程度の低質量星が、柱の表面に散らばって分布している小さな「蒸発するガス状グロビュール(原文 evaporating gaseous globule)、EGGs」に寄り添っている。
これら新しい星々の誕生は NGC 6611 の星からの強烈な紫外線放射によって引き起こされたのか、それともそれ以前から誕生していたのか? 新しい星々の進化は周りのガス雲のために途中で止まってしまうのか? もし若い星々の周りにガスやチリからできた円盤があったら、その円盤は惑星系を形成するより前に壊されてしまうのか? 今回の観測結果は、若い星々の誕生や進化に関する重要な問いに対する証拠をもたらしてくれそうである。