初期宇宙で起こった「星の花火のフィナーレ」
【2002 年 1 月 16 日 STScI Press Releases】
NASA のハッブル宇宙望遠鏡がとらえた、宇宙をこれまでで最も遠くまで写した画像から、初期宇宙の恒星は花火のフィナーレのように美しく壮大に爆発的に生まれたかもしれないという手がかりが得られそうだ。ただ一つ花火のフィナーレと違うのは、それが「最初に」起こったということである。
もしこの解釈が正しければ、NASA の次世代宇宙望遠鏡や他の宇宙望遠鏡を使ってもっと遠くの、初期の宇宙を観測すれば星の爆発的誕生のようすが実際に見えるかもしれない。非常にわくわくするような可能性だ。
ハッブル・ディープ・フィールドとよばれる天域の研究をしていた Kenneth M. Lanzetta 等の研究グループは、初期宇宙の星の大部分はビッグバンから数億年後に爆発的に激しい勢いで誕生したらしいという結論を導き出した。もちろん現在でも銀河の中で恒星は誕生しているが、この宇宙初期の勢いに比べれば現在の誕生率は小さなものである。また、従来は、宇宙年齢が現在の半分くらいのところで星の誕生率が一番大きかったと考えられているが、この時期に関して大きな修正が必要になるかもしれない。
従来のハッブル・ディープ・フィールドの研究では、初期宇宙の星からやってきていたはずの紫外線のほとんどが失われてしまっていた。これらの光を考慮に入れることで今回の新しい結論が得られたのである。しかし、今回の研究結果もいくつかの仮定の上に成り立っているものである。Lanzetta は、近いうちにハッブル望遠鏡に搭載される予定の新しいカメラを使ってさらに遠くの宇宙を観測し、失われた光の一部を直接検出することを計画している。