オーストラリアの Brown、山本稔さん、いて座に新星を発見
【2003年4月28日 VSOLJニュース(102)/国立天文台・天文ニュース(633)】4月30日更新
(VSOLJニュース)
IAUC No.8123によれば、オーストラリアの Nicolas J. Brown と、愛知県の山本稔さんによって、いて座に新星が発見されました。この天体は2003年最初に発見された銀河系内の新星です。Brown は 4月 25.73日(UT)に写真等級8.9等、山本さんは26.735日(UT)に写真等級9.6等で発見しました。Brown は V838 Mon = いっかくじゅう座の特異な爆発型変光星か特異新星として知られる有名な天体(VSOLJニュース 77, 84)を発見しています。また山本さんは1999年のいて座新星(V4444 Sgr, VSOLJニュース 14)や、反復新星 CI Aql の2000年再爆発(VSOLJニュース 40)の独立発見など、数々の発見を行われている方々です。
今回のいて座の天体は、Skuljan(カンタベリー大学)によってスペクトルが撮られ、新星であることが確実になっています。
新星の位置は以下のように報告されています。明け方のやや低い空ですが、小型望遠鏡で観測可能と思われます。
18h40m02s.54 -33o26'55".1 (J2000.0, 串田測定) 18h40m02s.57 -33o26'55".5 (門田測定, 末尾の値のみ) 新星周辺の星図(76KB)
発見前に報告されている最後の観測は4月5日で、この時はまだ増光していなかったようです。報告されているスペクトルの特徴からみて、新星は極大を過ぎてから発見されたと思われ、4月5日と25日の間により明るい極大を迎えていた可能性があります。当時の写真等をお持ちの方は調べてみてください。
VSNETでもこの天体に関するページを用意しています。星図や画像、光度曲線などは逐次追加される予定です。
http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/vsnet/Novae/nsgr03.html
(NAOニュース)
愛知県岡崎市の山本稔(やまもとみのる)さんは、4月26日(世界時)に、焦点距離200ミリメートルのカメラで撮影した写真から、「いて座」に9.6等の新星を発見しました。この発見は洲本市の中野主一(なかのしゅいち)さんを通して国際天文学連合に報告されました。
その前日25日(世界時)にオーストラリアの Nicolas J. Brown(ニコラス・ブラウン)さんも8.9等として発見しています。
この新星は今年はじめての「私たちの銀河系内」に現れた新星です。
山本さんによる発見位置は、
赤経 18h 40m 08.2s 赤緯 -33°26' 37" (2000.0)
山本さんは2000年の再爆発した新星の検出(天文ニュース(344))や いて座新星1999の発見(同(256)) など、多くの発見をしています。