VLTの観測で126億光年かなたの銀河が見つかった
【2003年8月28日 ESO Press Release】
ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(The Very Large Telescope)を用いた観測で、126億光年かなたの銀河が発見された。
研究グループは満月の5%ほどしかない狭い領域を長時間にわたって観測し、撮影された銀河のスペクトルを調べた。遠方の銀河からのスペクトルは赤方偏移によって赤いほう(光の波長が長いほう)へ伸び、その量を調べることによって銀河までの距離を推測することができる。観測結果によれば、赤方偏移パラメータzが4.8〜5.8の銀河が6個見つかった。このパラメータは銀河までの距離が126億光年に相当する値である(銀河までの距離は宇宙の年齢にも依存するが、ここでは広く受け入れられている137億歳という年齢を基にしている)。また、不確かながらz=6.6という銀河も発見された。もしこの値が正しければ、これまでに見つかっている銀河の中でもっとも遠方の銀河ということになる。
スペクトルからはさらに、これら6個の銀河が1億歳以下の若い銀河で活発に星を形成していることも明らかになった。しかし、発見された銀河だけでは、理論的に予測される紫外線の量を放射することができないため、より小さくて暗い銀河が数多く存在すると考えられている。今後、VLTを使ってこれらの小さい銀河やより遠い銀河を発見したいということだ。